1927年、デハ350形として登場した車両で、長野電鉄初の全鋼製車体を備えた車両となりました。当時の川崎造船所が大正末期〜昭和初期にかけて各地の私鉄へ納入した規格型車両の一つで、近しい見た目を持つ車両が各所に存在していました。見た目の特徴は、側扉の上にアーチを描いた形で設けられた雨どい。改番を何度か経た上で最終的に「モハ600形」となっています。
1980年の引退後、上田交通(のちの上田電鉄)へ譲渡されたものの、其方でも1986年の昇圧を機に引退し、1両が長野電鉄に里帰りして小布施駅の「ながでん電車の広場」に保存されることになり、同広場に2000系を保存する事になるまで展示が続きました。
その後、行き場を失っていたこの車両に転機が訪れたのは2014年の事で、長野電鉄の運用範囲とは少し離れた松川村の安曇野ちひろ公園にて、黒柳徹子が通っていた「トモエ学園」を再現する為の車両にデハ600が抜粋され、トモエ学園の「電車の図書館」に内装を改造されたうえで2016年から公開されています。安曇野ちひろ公園の雰囲気自体が非常に良く、幸せな余生を過ごしている車両であるように思えます。これからもずっと愛される場所であって欲しいと願わずにはいられません。
上写真はS1編成、湯田中にて。
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