8100形 |
1990年代も終わりに差し掛かった1998年、函館市内の福祉団体から函館市へ超低床電車導入の陳情があった事から導入が計画され、2002年に登場したのが8100形で、当時800形の車体更新で8000形を製造していたタイミングだった事から8100形も車体更新による製造となり、結果として、車両上の制約がある事から「部分低床車」としての導入となりました。
中扉付近が低床となった8100形は画期的な存在ではありましたが、やはり車体更新車を低床にするのには無理があったようで、ノンステップの空間はとても狭く、他の部分との間には2段の階段が設置され、狭い車内空間の中その階段を通らない事には出口に辿り着く事も出来ない、という逆にバリアフルで苦し紛れな仕様になってしまいました(勿論、車椅子の方は降車も中扉から行っているのだろうとは思うのですが…)。混雑時の車内移動は中々堪えます。こんな仕様が好評な筈もなく、結果として8100形は1両製造されただけで、後の車体更新はまた8000形に逆戻り。低床車の増備は1からの新車として導入された9600形で補う事になりました。その後、2021年に京王重機整備で車体改良が施され、行き先表示のLED化や標識灯の取り換えなどが行われています。
函館市電では低床車の運用は分けられていますが、異端な8100形と、本格的な低床車の9600形の運用は分けられていません。今となっては、低床車の運用に8100形を入れない方がいい様な気がします。…と、乗車する側にとってはお世辞にも褒められた車両ではないのですが、こういった苦労の跡が見られる異端車は技術進歩の過程で生まれる貴重な存在でもあり、8100形の導入から得たものは大きかったのではないでしょうか。
上写真は函館駅前にて。
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簡単な年表
1962年 登場(800形として)
2002年 登場(800形の更新によるもの)
2021年 更新
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最終更新:2025/8/29
【車両別】更新車を追加。
【Others】【行先】【風景】全て追加。
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